抗核抗体(ANA)陽性

更新 2021/4/26

抗核抗体とは

抗核抗体(anti-nuclear antibody:ANA)は、古典的にはその名のとおり細胞「核」の構成成分に対する(現在では細胞内の様々な成分に対する)自己抗体の総称です。

対応抗原(抗体が結合する部位)の多くはDNAやRNAと複合体を形成している蛋白(遺伝子複製や蛋白合成に関わる酵素や調節因子)であり、これらに対して50種類以上の様々な自己抗体が判明しています。
ヒトの培養細胞を基にした間接蛍光抗体法という検査法で細胞の染まり方(強さや分布)を判定します。1種類の抗体のみで陽性となることもあれば、複数の抗体が重なり合って染まり陽性となる場合もあります。

陽性の定義は40倍以上です。40倍の次は80倍、その次は160倍、と倍々に高くなっていきます。0という表現はなく、40倍未満が陰性という扱いになります。病気の発症とともに急激に高値になる場合もあれば、治療によってまたは自然経過で徐々に低下していくこともあります。また、検査を行う人の技術的な側面が影響する場合もあり、検査施設によって値が微妙に変動することがあります。

抗核抗体の特徴

抗核抗体は一部の膠原病における陽性率が高いため、実際の診療では膠原病を疑ったときにまず最初に行われる検査です。抗核抗体と関連のない膠原病を疑った場合でも、関連のある膠原病を除外する目的でやはり検査されることが多くなります。その他、人間ドックのオプション検査として測定されることもあります。

まずは膠原病を疑う所見があった場合における抗核抗体の扱いについてです。

抗核抗体と関連の深い膠原病とは混合性結合組織病、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、皮膚筋炎/多発性筋炎、シェーグレン症候群の5つを指します(表1に主な膠原病における抗核抗体の陽性率を示します)。

これらの病気を疑うなんらかの所見があって測定した抗核抗体が陽性であれば診断確定に近づきます。関節リウマチでもしばしば陽性となりますが、リウマチでは抗CCP抗体やRFなど有用なものが存在するため診断において参考にすることはありません(シェーグレン症候群や全身性エリテマトーデスなどの合併を考慮するきっかけにはなります)。いずれにしろ陽性であれば、疾患特異的自己抗体の精査を進めることとなります。

抗核抗体が陰性であった場合、特に最初の3つは抗核抗体陽性が診断にほぼ必須となる病気であるため、診断からは遠ざかります。皮膚筋炎/多発性筋炎、シェーグレン症候群についてはもともと抗核抗体の陽性率が落ちるため(必須ではないため)、陰性であっても否定はできません。

病名陽性率
(%)
混合性結合組織病100
全身性エリテマトーデス99~100
全身性強皮症97
皮膚筋炎/多発性筋炎40~80
シェーグレン症候群48~96
関節リウマチ30~50
表1 主な膠原病における抗核抗体の陽性率
Firestein&Kelley’s Textbook of Rheumatology, 11th edition. 2021

一方、膠原病を疑う所見がない状況で抗核抗体が陽性だった場合はどのように受け止めたらよいでしょう。

一言で陽性と言っても、その値によって意味合いが異なります。なぜなら抗核抗体は健常人の20~30%で陽性となるからです(表2に健常人における抗核抗体の力価と陽性率を示します)。これは主に欧米人のデータですが、日本人のみを対象とした別のデータでも近い結果が出ており、男性より女性の陽性率が高く(2~3倍)、陽性者の2割ほどに疾患特異的自己抗体が検出されます(この場合も病気の診断につながるのはごくわずかです)。
表2からもわかるように、抗核抗体の力価が高くなるほど健常人の割合は減少し、160倍以上ではわずか20人に1人となります。

抗核抗体の力価陽性率
(%)
40倍以上20~30
80倍以上10~12
160倍以上5
320倍以上3
表2 健常人における抗核抗体の力価と陽性率
Firestein&Kelley’s Textbook of Rheumatology, 11th edition. 2021

これらを考慮すると、無症候者における40~80倍程度の陽性であれば、疾患特異的自己抗体の精査は必須とは言えません。ただ、一見無症状に見えても実は所見ありというケースも稀にあるため、心配であれば精査してよいでしょう。逆に160倍以上の陽性であれば無症状であっても自身の素因を知り病気に備える意味で一度は精査を行うメリットがあると考えますし、なんらかの症状があるなら必須と言えます。
また、膠原病以外では、甲状腺疾患(バセドウ病、橋本病)、肝疾患(自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、C型慢性肝炎)、多発性硬化症、ヒトアジュバント病などで陽性となることがあり、抗核抗体の精査をきっかけにこれらの診断につながるケースもあります。

以上のように抗核抗体の精査は各種膠原病の疾患特異的自己抗体や膠原病以外の病気を広く調べることとなります。通常行う血液検査と比べると自己抗体の検査は高額になる傾向があり、1項目で数千円するものもあります。また、健康保険のルール上、一度に調べられる項目数の上限もあるため、しっかり調べようとすれば費用と時間がかかります。
症状や検査異常がある場合は最も疑わしい病気や見逃してはいけない病気を中心に調べていきますので、心配なことがあれば積極的に質問をして不安を取り除くようにしましょう。

TEL
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院長
清水 久徳
診療内容
リウマチ科、内科、アレルギー科
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